手軽に持ち運べて、いつでも濃度の高い水素水が飲める「携帯水素水サーバ」が人気ですね。
みなさん、値段やメーカーの発表した数字だけで選んでませんか?
意外と知られていない水素水サーバーの選び方を紹介します。
携帯用水素水サーバー はひとつ何万円もする高価なもの。
それでも一個250円のパウチ入り水素水を1日1個飲んだら一年間365日で91250円。
それを思えば携帯用水素水サーバはコストパフォーマンスが優れているといえるかもしれません。
でも、どの水素水サーバーも同じだと思ってませんか?
実は、水素を作る方法によってはできた水素が壊れてしまうこともあるのです。
せっかく高いお金を出して買うなら水素が長持ちする方がいいですよね。
どんなサーバーを使えばいいのかお話しします。
でもちょっとその前に水から水素水を作る方法を勉強しましょう。
そうしないと水素水サーバーの選び方がわかりづらいからです。
ちょっとお付き合いください。
なんで水から水素水が作れるの?原理を紹介
水は水素と酸素が結びついてできてます。
水のことを記号で「H2O」と書きますよね。
Hが水素でOが酸素の記号です。
水素と酸素はとっても強く結びついてるので、普通は離れません。
どんなに熱をかけても、力を加えても離れません。
でも、電気をかけると水素と酸素を別れさせることができるのです。
実際にはもっと複雑な反応が起きていますが。簡単に書くとこのようになります。
2H2O → 2H2 + O2
理屈ではずっと電気を流しっぱなしにすると水を全部分解することができます。
でも電気がたくさん必要になります。携帯用水素水サーバーにはそこまでの能力はありません。
だから、水素水サーバーで水が分解されてなくなっちゃうってことはありません。
水素を分離しないと水素が壊れてしまいます
というわけで、
水素水を作る原理は、水の電気分解と同じです。
つまり。
水素を作ったはずなのに、酸素も一緒に作っているんですよ。
酸素は生物には猛毒だった
「酸素って体に必要だから、健康にいいんじゃないの?」と思うかもしれません。
確かに多くの生物は(全部の生物ではありません)酸素がないと生きられません。
でも、多すぎても困るんですよ。
体内で形成されるスーパーオキシドアニオン(O2-)は、多分鉄の捕捉に関与していると考えられる。通常の濃度よりも高い酸素は、活性酸素種の濃度を高める
出典:wikipedia
酸素が多すぎると、体内で活性酸素が多くなってしまいます。すると、生物は長く生きられなくなるのです。
もちろん酸素の多い水を飲んだからといってすぐには問題ありません。でも、長い期間毎日飲み続けると悪い影響がでる可能性はあります。
体内の活性酸素を減らすために水素水を飲んでるのに、これでは逆効果ですね。
水素サーバーでオゾン発生?
しかも、水の電気分解では酸素と一緒にオゾン(O3)もできてしまいます。
オゾンは活性酸素の仲間です。
殺菌作用があるので水道水の消毒用につかってる自治体もあります。オゾンは寿命が短いので水道局で使っても家庭で飲むころにはなくなってます。
電気分解した水には水素と酸素が溶けています。
でも、あなたがほしいのは水素だけですよね?
ところで、水素はなんで体にいいと言われているのでしょうか?
活性酸素を中和してくれるからですよね。
でも、水の中に活性酸素があったらどうなるでしょうか?
水の中で活性酸素と反応して中和しまいます。
せっかく水素を作ったのに、体に吸収される前に消費されたらもったいないですよね。
水素発生装置を使うなら、酸素やオゾンを分離できるものじゃないと意味がないんですね。
水素とオゾン・酸素を分離できる夢の技術
水から水素だけを取り出すことはできるんでしょうか?
携帯用水素水サーバーには電気分解で水素を作ってるものがあります。
でも電気分解方式でも二種類のサーバーがあるんです。
それは「隔膜方式」と「無隔膜方式」。
隔膜方式はPEM式ともいいます。
PEMとは「高分子電解質膜」の略。
PEM・高分子電解質膜を使えば水素を酸素・オゾンから分離できます。
PEMは水素と酸素やオゾンを分けることができるんです。
正確にはPEMは水素イオンだけを通す膜なんですが、電子を受け取った水素イオンは水素になります。
2H+(水素イオン)+ 2e- (電子) → H2 (水素)
でも、この方法は特別な技術が必要なので値段が高くなってしまいます。
だから家庭用にはあまり普及してません。
家庭用水素水発生装置はオゾンを分離できないものが多かった
ハンディタイプは水素と酸素が同時に出ています
たとえば、こんなハンディタイプ。
水素と酸素が同時に発生しています。
もちろん分離できません。
電極から泡が出てますよね。
これって水素と酸素が同時に出てるんです。
水を電気分解するとこうなります。
2H2O → 2H2 + O2
つまり、水素2に対して酸素が1できてるんです。オゾンも含まれます。
見えてる泡の3分の2が水素。
残りは酸素かオゾンなんですね。
安くて簡単に使えるので人気ですが。
水素の摂取をするには効率いいとは言えませんね。
でも、弱いアルカリイオン水は作れるので。
簡易型のアルカリイオン水生成器として使うことはできます。
ボトルタイプにもさまざまな種類がある
ハンディタイプは水素を分離できない。
じゃあボトルタイプがいいんでしょうか?
ボトルタイプには化学反応で水素を発生させるものと、
電気分解で水素を発生させるものがあります。
オゾンはできないけど、水素の元が必要なタイプ
電気分解しないタイプは、オゾンは出ません。
でも、水素の元が必要です。
水素の元は粉末の入ったパックだったり、セラミックで固めていたり、種類は様々。
使うたびに交換したり、時期が来たら交換したり使い方もいろいろありますが。
使い続けるためには消耗品を買わないといけません。
本体は1~2万円で購入できます。画像の機種だと16000円程度。
初期費用が安いので最初は気軽に始められますね。
でも、長く使い続けると消耗品を買わないといけません。
消耗品の価格はこの機種だと0回分で3000~4000円します。
電気分解タイプでもオゾンを分離できないものもあります
ボトルタイプで電気分解するタイプでも、
値段の安いものは水素を分離するしくみがありません。
2~3万円のものが多いようです。
ボトルタイプでも安いものは水素をろ過する仕組みはありません。
電極で発生した水素と酸素・オゾンがいっしょに入ってます。
値段が安いのはそういう理由があるんですね。
これは別の機種のメーカーの注意書きですが。
しっかり酸素が発生すると書いてますね。
酸素が発生するということはオゾンもできてます。
みなさん安いからとよろこんで買ってますが、「いいのかな・・・」なんてちょっと思ったりします。
もちろん「安いから満足」というならそれでもいいんですよ。
水素が出てることには変わりないですから。
水素を分離・オゾンをとりのぞける水素水サーバーはこれ
それでも毎日飲むなら水素の多い新鮮な水素水がいいですよね。
種類は少ないですが、家庭用にも新鮮な水素を作れる水素水サーバーがありました。
ハイドロライフ という機種です。
楽天でも59400円します。かなり高価な水素水発生ボトルですが。
値段が高いのは水素と酸素・オゾンを分離できるPEMが入ってるからなんですね。
真ん中の丸い板がPEM
この機種では分離した酸素は空気中に出す仕組みになってます。
水素だけを水に残すのですね。
水素とオゾンを作り分ける機種もある
水素水発生装置にはオゾン水を発生させる機能を持ったタイプもあります。
オゾン水は殺菌効果があるので、お掃除や消毒に使えます。装置の洗浄にもなります。
原理としては同じです。水素を残すか、オゾンを残すか選べるようにしてるんですね。
でも15~20万円もします。
水素水だけが目的なら割高ですね。
PEM方式の特徴はアルカリ性にならないこと
PEM式で作った水素水はアルカリ性になりません。
アルカリ性の原因になるOH–も通さないからです。
水素水サーバーで作った水がアルカリ性つまりpHが7を超えたらそれはPEM方式ではありません。
弱アルカリの水も体にはいいのですが、あなたが欲しいのは水素ですよね。
出典:“月刊からだにいいこと 2016年 09 月”,祥伝社
使った水のpHが高かったらpH7(中性)を超えることもありますが。
水素を作る前よりはpHは下がってるはずです。
「でも酸性の水は体に悪いんじゃないの?」と思ってませんか?
悪いのは酸性になることではありません。
体を錆びさせる活性酸素が悪いのです。
PEM式は値段が高いので長く使い続けたい人だけにしかお勧めできません。
本当に水素水を長く飲み続けたいならいいものを使いたいですよね。
参考文献
”固体高分子電解質膜形水素ガス発生装:技術資料”,GSユアサ
“月刊からだにいいこと 2016年 09 月”,祥伝社